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くらし

南海トラフ地震と高知

予測はどう変わったのか。そして、備えることで何がどれだけ変わるのか。国と県の資料を並べました。

震度7が想定される市町村(令和7年度・高知県版予測)
33市町村
沿岸の想定津波高(最大)
34.5m
想定される浸水面積
18,438ha
県内で震度7が占める面積
11.7%

予測は、どう変わったのか

平成24年度の予測と、令和7年度の予測を並べます。

高知県「令和7年度[高知県版]南海トラフ地震による最大クラスの震度分布・津波浸水予測の概要」より。
項目平成24年度令和7年度
震度7の市町村26市町村33市町村
震度6強の市町村8市町村1市町村
震度7の面積割合6.6%11.7%
震度6強の面積割合58.3%49.6%
沿岸の津波高34.4m34.5m
浸水面積19,253ha18,438ha

震度7が想定される市町村が26から33に増えました。県内で震度7が占める面積の割合も6.6%から11.7%へ、およそ2倍になっています。

震度6強から震度7に上がったのは、宿毛市・本山町・土佐町・仁淀川町・越知町・梼原町・津野町の7市町村です。沿岸部だけでなく、内陸の市町村が含まれている点に注意が必要です。

一方で、浸水面積は19,253haから18,438haへ約4%減りました。津波高もほぼ横ばいです。揺れの想定は厳しくなり、浸水の想定はわずかに小さくなった、という結果になっています。

なぜ予測が変わったのか

地震が大きくなったのではなく、計算が細かくなりました。

地盤モデルに使った地質調査
19,500
地形データの細かさ
5mメッシュ
津波の推計ケース数
6ケース

令和7年度の予測は、国が令和7年3月に公表した新しい被害想定をベースに、高知県が県内のデータを加えて精密に計算し直したものです。

  • 地盤:官民が持つ県内約1万本の地質調査結果を追加し、計19,500本のデータで地盤をモデル化
  • 地形:10mメッシュから5mメッシュへ。測地成果2024(標高改定)と航空測量結果を反映
  • 潮位:直近10年の朔望平均満潮位を反映
  • 堤防:高知港の三重防護事業など、整備が進んだ状況を反映

震度の予測には内閣府の4ケースの強震断層モデル、津波の予測には内閣府の11ケースのうち高知県沿岸で最大の津波高になる6ケースが使われています。

つまり「地震が想定より大きくなった」のではなく、同じ地震をより細かく計算したら、揺れの厳しい範囲が広く出たということです。

揺れと津波は、別々ではない

県の資料が、はっきり書いていることです。

訓練どおりに避難できない可能性
高知県では、阪神・淡路大震災クラスの強い揺れが長時間続き、その後に東日本大震災クラスの津波に襲われることが想定されている地域があります。
県の資料は「地震による揺れと津波を別々のものと考えず、津波が来る前に大きな揺れによって自宅や市街地が被害を受けて、訓練どおりに津波からの避難ができない可能性も考えておきましょう」と呼びかけています。

津波避難の訓練は、多くの地域で行われています。しかし本番では、津波が来る前にすでに揺れの被害が起きています。

阪神・淡路大震災では、建物が倒壊し、火災が起きても水が出ない、倒壊した建物が道路をふさいで消防車が入れない、という状況が起きました。急傾斜地や造成地では土砂崩れや液状化で路面が壊れた地域もあります。震度4や5弱程度でも、補強されていないブロック塀が倒れた例があります。

高知で想定されているのは、その状態から津波避難を始めるという事態です。いつもの避難経路が使えないかもしれない。そこまで想定しておく必要がある、というのが県の説明です。

避難で、犠牲は何倍も変わる

国の資料に、数字で書かれています。

早期避難の有無による差
2.3〜9.8
全員が即避難した場合との差
2.9〜14.1

国の被害想定には、避難のしかたによって津波の犠牲者数がどれだけ変わるかが示されています。

  • 早期避難率が低い場合と、早期避難率が高く効果的な呼びかけがあった場合を比べると、津波による死者数に約2.3倍〜約9.8倍の差
  • 現状の避難開始率の場合と、全員が地震発生後すぐに避難を始めた場合を比べると、約2.9倍〜約14.1倍の差

この幅は、想定が不確かだという意味ではありません。同じ地震でも、住民の行動によって結果がこれだけ変わるという推計です。

「すぐに逃げる」という、お金のかからない行動が、いちばん大きく数字を動かします。

備えると、どれだけ減るのか

国の資料が示す、対策ごとの減災効果です。

中央防災会議(令和7年3月)による推計。いずれも全国の数値。条件は資料をご確認ください。
対策現時点対策が進んだ場合減少
建物の耐震化約73,000人約17,000人約77%減
家具の転倒・落下防止約5,300人約1,800人約66%減
感震ブレーカーの設置約21,000人約10,000人約52%減

いちばん効果が大きいのは建物の耐震化です。昭和56年以前に建てられた建物の耐震化が進むと、揺れによる死者は約77%減ると推計されています。

家具の固定は約66%減、地震のゆれで電気火災が起きるのを防ぐ感震ブレーカーは火災による死者を約52%減らします。

いずれも、地震が起きてからではできないことです。数字は「いま何をするか」で動くということが、資料からそのまま読み取れます。

自分の地域を調べる

県が、市町村ごとの地図を公開しています。

高知県は、市町村ごとの震度分布図・津波浸水予測図・津波到達時間・浸水深の時間変化を、25の区分に分けてPDFで公開しています。東洋町、室戸市、奈半利町・田野町・安田町……というように、地域ごとに細かく見られます。

お住まいの地域、職場、お子さんの学校がどうなるかは、この地図で確認するのがいちばん確実です。下の出典リンクから、県のページに入って探してください。

あわせて、高知県は「正しく恐れる」という言い方をしています。想定は起こると決まった未来ではなく、ひとつの可能性であること。そのうえで県が呼びかけているのは次の3つです。

  • 自助と共助が命を守る
  • 想定を超えることもあると考えて、できる限りの備えを
  • 備えに無駄はない。できることから動く

数字の見方について

このページで、あえて載せていないものがあります。

「高知県の想定死者数は何人か」という数字は載せていません。

国の被害想定の資料には、次のような注意書きがあります。

今回の被害想定は、マクロの被害を把握する目的で実施しており、都府県別の数値はその計算根拠を明確にするために示したものであるため、ある程度幅をもって見る必要がある。各都府県において地域の実情に応じて実施されている被害想定に影響を与えるものではない。

つまり国の資料の県別の数字は、全国の合計を出すための計算過程として示されたものであり、その県の被害想定そのものではないと国自身が書いています。高知県の被害想定は、県が地域の実情に応じて別に行うものです。

数字が独り歩きしやすいテーマなので、確認できたものだけを載せる方針にしました。県が県内の被害想定を公表した際には、このページに追記します。

この数字はどこから来ているか

国と県の公表資料です。

予測は現時点の科学的知見に基づくものです。発生時期を予測することはできません。数値は公表時点のもので、今後の調査で更新されることがあります。

県議会での防災の議論は議論ダイジェストで会議録の原文つきで読めます。県の防災予算はお金のいまにまとめています。

数値は公開資料を整理したものです。正確な内容は高知県の人口南海トラフ地震への備え(公式)でご確認ください。
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